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働くを考える

例えどんな組織に属していても、自分の仕事や働き方は変えられる

仕事術

多くの人は、ルールや組織上の決まり、伝統やもっともらしい大義名分によって、自分の仕事や働き方は変えることができないと思っています。場合によっては、変えずに"正しく"遂行することこそが働くことと捉える向きもあります(もちろん、それも正しい姿勢ですが)。またはどんな退屈な仕事であれ、それを失う不安のようなものに苛まされているのかもしれません。しかし本当に変えられないのでしょうか。

ボールペンなら変えられる

転職や異動といった環境を変えるのではなく、今の仕事を変えること、それは大企業だろうと中小企業だろうと、例えどんな組織に属していても可能です。決して大げさな話ではなく、業務改善やBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)といった生真面目な話でもなく、自分の裁量で判断できる部分をほんの少し変えることは誰にでもできることではないでしょうか。変えても気づかれないところ、大事に至らないところ、例えば仕事で使われているボールペンだったり、資料のフォーマットのほんの一部だったり、そういう変化は誰にでも起こせるはずです。「なんだそんなことか」と思うでしょうし、おそらく多くは大きな変化もないでしょう。ですが、「変えられる」、「変えてもいいんだ」と理解するには十分です。次は"今よりも少しだけ良くなる"何かを変えればいいのです。もちろんトラブルになっても仕方がないので、内容によっては上司と相談すると良いでしょう。多くの場合歓迎されるはずです。一見すれば地味なこの活動を地道に続けていれば、いつしか夢中になれる仕事になり、場合によっては今よりももっと待遇のいいポジションや評価を得られることもあるでしょう。

終わりなき実験

著書「仕事は楽しいかね?」でこんなエピソードがあります。持つべきたった一つの目標は「明日は今日と違う自分になる」ことであると。そうすることで幻想でしかない長期目標、巷に溢れる成功体験や手法に惑わされず、身の回りにあるたくさんのアイディアを使って、物事をよりよくする"実験"を繰り返すことが、働く喜びにつながると著書は結論付けています。

仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね?

僕たちはやりがいが効率性に勝るということを証明しなければならない

エンタープライズ向けソフトウェア

ビジネス向けチャットサービスは他にもあるのに(しかも以前から)、にもかかわらずSlack: Be less busyがなぜウケたのかを考えると、メールやミーティングといったビジネス上のコミュニケーションの多くは、文字通り"ビジネスライク"にお堅くなりがちなものを、ポップな見た目、軽快なアニメーションやエモーティコン、"おふざけ"的なものを含む豊富なプラグインやインテグレーションの楽しさによって、やる"甲斐"を与えているからではないでしょうか。情報伝達という観点で言えば、メールと大きく変わりませんし、場合によってはチャットの方が非効率ですらあり得ます。他のチャットサービスと比較するなら、機能面では何一つ違いがありません。それでも人を惹きつけて止まないのは、ただ"楽しい"という、真面目な文体で語るにはいささか気恥ずかしさすら感じるこの理由に尽きるのではないでしょうか。


やりがいのためのエンタープライズ

多くのエンタープライズ向けソフトウェアは効率のためにあります。情報を集め、フローを整備し、効率性を上げる、経営層や管理部門にとっては非常に意義のあることだと思います。しかしこれからは"やりがい"のためのエンタープライズ向けソフトウェアが求められるのではないかと感じています。ロボット技術やAIによって人間の働く場所は奪われると言われて久しいですが、確かにそれらによって効率性は今まで以上に大きく改善されるでしょう。ですのでこれからはやりがいによって生まれるイノベーションやクリエイティビティが、効率性に勝るということを、人間は証明しなければならないのかもしれません。どんな職種や業務であっても、そこに楽しさや面白さを見い出し、新たな価値を生み出す、それを少しでも支えられるエンタープライズ向けソフトウェアが作れたらいいなと思う今日この頃です。

情報と機能の囲い込みが組織内に繁文縟礼的無駄な仕事を生む

組織論

昨今コラボレーションツール等の発展で改善は見えるものの、それでも組織内の情報や機能は特定の部署や個人に限定される傾向にあります。特定の部署しか閲覧できない情報、管理職しか申請できない依頼などが挙げられるでしょうか。そのため、業務を遂行する上でまず情報を探すところから始まったり、場合によっては情報の在り処を知っているとされる人物とコンタクトを取ったり、いざ依頼をしても権限がなく手戻りや余計な時間コストを消費することになったりするのも、よくある組織内の風景のように思います。ロールプレイングゲームならいざ知らず、企業という組織でこれらが行われれば、問い合わせや依頼を左から右へ回すだけの繁文縟礼的無駄な仕事やそれをこなす部署が生まれ、組織としての競争力が失われるのは必至です。

なぜか

ではなぜ情報や機能は限定される傾向にあるのでしょうか。根底には暗黙的にビジネスワークフローに則る働きがあるように思います。ではなぜワークフローに則るのでしょうか。それは、門戸を広く開け放つことによって生じる、大量の依頼や宛先間違い、解決困難な依頼等に対する防衛本能のように感じます。情報を獲得できる人、機能を利用できる人を限定することによって、トラブルを未然に防ぐ狙いがあるのでしょう。ワークフローによって負荷の制限を実現しているのです。しかし本来市場原理で言えば、多くの利用は喜ばしいことのはずですし、同じ組織内の部署間で攻防が繰り広げられるのは非常に勿体無いことでもあります。

何ができるか

大量の依頼に対応出来るために、「業務の断捨離」をして、自部署にとって最も得意とする業務を取捨選択し、それらをプライベートクラウドサービスのように誰でもどこでも使える状態を目指しましょう。依頼の窓口に当たるサービスのインターフェースをより強固なものにすることで、不用意な依頼を抑止できますし、構造化・画一化された依頼はシステムによる自動化への道筋も見えてきます。こうすることで無駄な仕事がなくなりコスト削減が実現され、依頼を受ける人もする人も満足でき、皆やりがいが持てる組織が実現できるのではないでしょうか。

業務の断捨離で大企業病を克服しよう

仕事術

働く上で、やりがいを大きく阻害するもの、それは知的創造活動ではない"タスク化"(作業化)してしまった仕事ではないでしょうか。ルールや伝統として引き継がれた"おまじないタスク"、誰のためのどんな価値があるのかわからないがやることになっているゾンビタスクなどがそれに当たります。タスク化してしまった仕事の弊害は多く、まず「やりがいが得られない」ことが挙げられますし、ゾンビタスクと記したように必要なことなのかわからないため、簡単に「消せない」こともそうでしょう。また、繁文縟礼的とも言える単体ではほとんど「価値がない」ような業務が平然と行われていたり、異なる部署で同等の業務が「重複している」可能性があったり、保守的になることから全く「改善されない」ことも挙げられます。これらの多くがいわゆる"大企業病"の症状とも取れる事象ばかりであることは、何かしらの因果を感じずには入られません。

業務の断捨離

そこで業務をひとつずつ整理整頓してみてはいかがでしょうか。業務の断捨離です。まずは大きくやりがいを感じられるような"知的創造活動の仕事"と、単純作業やルーチンワークといった"タスク化された仕事"に分けましょう。この時場合によっては、ひとつも"知的創造活動"箱に入らないこともあるかもしれませんが、部分的でもいいので何かを入れておくことをオススメします。いずれそれらがやりがいを感じられる知的創造活動の種になる可能性があるからです。"タスク化された仕事"に入った種々の業務を、今度は"捨てる"、"自動化"、そして"移管"に分けたいと思います。"捨てる"とは文字通り、その業務をある瞬間から止める、ということです。この行為はある種の自己否定を伴いますし、周囲から反発を受ける可能性もありますので困難なケースも考えられますが、実際の断捨離のコツがそのまま使えるかもしれません。発生数や頻度、発生期間などの閾値を設定すれば、決断の指標になるはずです。空いたリソースを使って、どんな知的創造活動をしようと事前にブレストしておくのも効果があるかもしれません。続く"自動化"とは、システムを活用して人手を介さずに実施できるようにすることです。そもそも繰り返し可能だということは、それはシステム的に自動化できるということに他なりません。Salesforceを始めとする特定の業務基幹システムをそのまま利用したり、kintoneなどの汎用的な業務支援サービスを使ってみたりするのもいいでしょう。知識と環境があるのなら当然自らアプリケーション等を構築すること(業務を(プライベート)クラウドサービス化する)も可能です。最後の"移管"とは、他部署に業務を引き渡すことです。責任放棄にも見えますし、難しい交渉が伴うようにも見えますが、多くの場合で結果的に意義のある行為となります。移管しようとしている業務が、すでにどこかで自動化されている可能性もありますし、今後知的創造活動として自動化しようとしている場合もあるでしょう。いくつかの部署と議論し、感触を得ることは大変意義深いように感じます。その過程で、"捨てる"の箱に入ることも珍しくありません。分類が終わったら全体を見回して、業務のコストや頻度、ネガティブな感情の量等を鑑みて、"捨てる"、"自動化"、そして"移管"の箱の中からチームとして取り組む業務を決め、実現に向けて動き出します。このような断捨離ワークショップをグループやチームで実施してみるのはいかがでしょうか。どの部分に無駄やモヤモヤを感じているのか、お互いに認識するだけでも何かのきっかけになるかもしれません。

業務のアップデートの重要性

日々、刻一刻とビジネス環境は変化しています。しかもそのスピードは年々早くなっているようでもあります。以前取り決めたことは間違いなく古くなります。断捨離を通じて適宜アップデートすることが、現場の人のやりがいを造成し、ビジネスの成功に近づく唯一の方法なのではないでしょうか。

おそらく数年後、企業の枠組みを超えてチームレベルでの統廃合が起きる、と思う

組織論

現在、多くの企業が機能別組織を採用しています。大きな枠組みでいうと、営業部門、開発部門、製造部門、会計部門、などでしょうか。事業部制事業本部制を採用していたとしても、細かく見ていけば、グループやチームといった単位で、機能毎に担当が分かれていることには変わりありません。しかし数年後、それぞれの機能は企業という枠組みを超えて、統廃合が行われるのではないかと予想します。つまり、すべての企業が出来うる限りのいわゆる「持たない経営」になるとともに、企業内のすべての業務が「事業化」または「本業化」に向かう時代です。

なぜか

外因:クラウドサービスの台頭

クラウドサービスとはネットワーク越しに様々な機能を提供するサービスの形です。大きな分類だと、サーバやネットワークといったハードウェアを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)や、アプリケーションなどソフトウェアを稼働させる環境(プラットフォーム)を提供するPaaS(Platform as a Service)、そしてメールなどのソフトウェアそのものを提供するSaaS(Software as a Service)に分けられます。自前で機器を導入する必要がなく、使用量に応じたコストになるので、導入障壁が少なく、今日、利用していない企業は稀だと言ってよいでしょう。狭義のクラウドサービスにとどまらず、昨今ではエンジニアリングや士業といった人的リソースも、ネットワークを通じて提供するサービスアズアサービス(Service as a Service)とも言えるような形のものまで存在します。ともすれば、自身の業務と同種のクラウドサービスは間違いなく存在し、言うなれば、どんな職種や業務であれ、世界中で競争関係にあると言っても大げさではないでしょう。市場原理に従い、より優れたサービスを提供する方がより大きなマーケットを手に入れ、結果、規模の経済性からさらに安く便利になるはずです。今後さらにクラウドサービスが台頭し、その利用に対する受け入れが進めば、経営陣がクラウドサービスと社内業務を比較して、あらゆる点でクラウドサービスに優位性を感じるならば、企業内に持つ業務の差し替えが急激に進んでもおかしくありません。

内因:組織内に潜むコストが高くてやりがいのない仕事

一方で当ブログでも何度も働くの"モヤモヤ"について話してきました。鈍重で変えることのできないビジネスワークフロー上をタスクと責任だけが行き交う結果、日々タスクに追われ、引き継いだ伝統的なタスクや"おまじない"タスクをただこなすだけのやりがいのない仕事になり、また、各チームが自身の業務に責任を持つが故、各所でバッファが組まれ、質の低いこなすだけの仕事とバッファがワークフローを通じて積み上がれば、結果、事業そのもののスピードや質に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。これを"企業らしさ"と取る向きもありますが、今後、ビジネス環境が一層厳しくなり、経営陣が課題として認識したならば、コストでも質でも優位性のある外部に活路を見出すのは自然なことでしょう。

その時代に備えて何をすべきか

やりがいもなく、しかも差し替えられるリスクのあるこの時代、現場の人にとって受難とも言える時代に向けて、一体何ができるでしょうか。「業務を(プライベート)クラウドサービス化する」のように、コアコンピタンスになりうる自分たちにしかできない業務を見出し、それをあたかもクラウドサービスのように提供するのはひとつの手です。別の言い方をするならば、パブリックの競合サービスと勝負できるようなものを、パブリックにも提供可能な状態になるくらい洗練させる、ということです。必然的に業務の選択と集中が行われ、見出せない業務は外部のクラウドサービスや他チームに任せたり、止めたりするようになるでしょう。ふたつめは「チームとして、個人としてスキルセットを考え直す」ことです。コアの業務執行能力だけではなく、クラウドサービス化する上でのエンジニアリングや競合サービスとの市場の取り合いに向けたマーケティングも必要になります。それらをトレーニングや採用で補ったり、外部のサービスを利用したりすることに少しずつシフトすることは大変意義のあることです。そうすることで、組織内だけでなく、世界的にも一定の立場を確立できる素養があるのならば、この「総事業化社会」とも言うべき時代を生き抜いて行けるのではないでしょうか。そこまでするのは大げさに感じるかもしれませんが、そこまでする必要がないのなら、それはする必要がない、つまり外部と置き換えが可能だということを暗示していることに他なりません。

やりがいがあって意義のある仕事

ある意味殺伐とした時代予想ではあるのですが、同一の業務が集約することで得られるコスト削減は大きな経済効果を生むでしょうし、何より誰もが働くことや仕事に対して強烈なやりがいと開放感を持つ時代というのも、決して悪いことではないと感じます。このような時代に推し進める、または下支えするような仕組みを考えていけたらいいなと思います。

「経営者意識を持て」というのはなにも会社の役員や幹部のように働けということではない気がしてきた

仕事術

「経営者意識を持て」という言葉をよく聞きます。それと同じくらい反論や反発が多いようにも感じます。この言葉の意味を考えると、なにも会社の役員や幹部のように働けということではないのではないかという気がしてきました。では一体何を経営し、どんな意識であるべきなのでしょうか。

ビジネスワークモデル

組織で働いていると、無駄に感じること、意義ややりがいを感じにくいこと、十分な評価が得られない(と感じる)ことなど、"働く"のモヤモヤともいうべきものがあります。私たちがそれらを解消するために試行錯誤の上にたどり着いたのが、プライベートクラウドサービスという考え方です。
kazukiyunoue-work.hatenablog.com
つまりクラウドベンダーのように働く、ということです。そうすると、

  • プラットフォームモデルだから多くの利用者を獲得して単価を下げる必要がある
  • 多くの利用があっても大丈夫なようにサービスやプロダクトを作る
  • フィードバックをすぐプロダクトに反映する
  • 顧客(つまり社内の利用者)に会ってヒアリングする
  • 利用数の指標を見たり、ステークホルダーに提示したりする
  • 見込み顧客のいる市場はどこにどれだけあるか調査する
  • 各サービスのプロダクトライフサイクル(導入、成長、成熟、衰退)を意識する
  • あるサービスのメニューを減らして管理コストを浮かせようとする
  • 人気のないサービスを縮退させる
  • 浮いた分を成長期のサービスに回せないか検討する
  • 新たな見込み顧客になるかも知れないので、他部署の動向を気にする
  • 最近は○○が人気だから、○○みたいなサービスを作るといいかも知れないなと妄想する

こういった考えや行動が業務の前提になり、こうした業務のビジネスモデル、ビジネスワークモデルともいうべきものを意識するようになっていました。それはもはや少人数でサービスやプロダクトを作るベンチャーやスモールビジネスに取り組む組織かのようでもありました。つまり、自分たちで自分たちの業務を"経営していた"のですね。クラウドベンダーモデルだけではなく、例えばノウハウを記したワードファイルを提供する業務なら、ファイルをダウンロードするウェブページを用意して、ダウンロード数を主要指標とし、ダウンロード数を増やすためにノウハウをアップデートしたり、プロモーションをかけたりするというシンプルな物販モデル、継続的なカスタマーサポートを提供する業務なら、サブスクリプション(定期購入)を申請できるウェブアプリケーションを用意して、入会数と退会数の比率やLTVに当たるような数値を主要指標とし、指標を伸ばすためにサポートの内容や体制を変えたり、プロモーションしたりする継続モデルでしょう。このように、外部に対して価値を提供するということ、それを実現するために考え行動しろということが、「経営者意識を持て」という言葉に含まれているのではないでしょうか。これはどんな業務、どんな些細な業務でも重要なことです。特にコーポレート部門やIT部門のようなバックオフィス系の場合、ビジネスの実際の一般顧客と業務を提供する社内の顧客がいます。一般顧客を感じることが困難なら、社内の顧客に割り切って"経営"することも一つの手かもしれません。

あなたの業務の経営者はあなた

ぜひ、自分たちの業務のビジネスモデルを考えてみてください。その際注意したいことが、複雑にしないことと自己矛盾を内包しないことです。自分のチームにリソースや政治力が乏しい場合は、複数の他部署と提携し、顧客にも様々な形式で業務を提供するような複数のビジネスモデルが絡み合うのは難易度が上がる傾向にあります。また、プラットフォームのような業務は利用を増やすことに価値があり、コンサルタントのような業務はプラットフォームの利用を減らしたり止めたりする提案に価値がある、というような自己矛盾になりうるサービスを自チームに持たないことも重要です。各チームがそれぞれの業務を自ら経営する状態を社内で実現するには、各チームが自ら考え自由に行動できるような適切な場を用意する必要があるでしょう。そして、「経営者意識を持て」ではわかりにくいので、「あなたの業務の経営者はあなたです。価値を作り提供して、適切なリターンを得てください」と言いましょう。長いですけど。

IT部門が不要論を乗り越える上でプライベートクラウドサービスという考え方はオススメできる、と思う

組織論

IT部門や開発部門不要論、無能論とも言える論調が登場して久しくなりました。
itpro.nikkeibp.co.jp
木村岳史氏の人気連載「木村岳史の極言暴論!」でも幾度となく取り上げられています。原因はいろいろあり、それらが複雑に絡み合っての今だとは思いますが、当初意義や思想といった面で納得感があった部門の役割分担だったものが、納期や成果物の質、実現可否といったリスクを受け取るだけの、十分なリターンがないことに尽きるかと思います。実際の給与に反映される評価もそうなのですが、やはりやりがいがないことが一番の問題ではないでしょうか。まさにやりがいが赤字です。別の言い方をするならば、やりがいという名の売り上げを生むビジネス(業務)モデルがない、もしくはビジネス(業務)モデルが現状にそぐわないといったところでしょう。ソニックガーデンの倉貫義人氏がSIer業界に感じた一括受託モデルの問題点と似ています。
www.sonicgarden.jp
ソニックガーデンさんがオーダーメイド+サービス提供型の「納品のない受託開発」を推し進めるように、IT部門もまた、やりがいを得られる業務モデルを考え、構築する必要があるように思います。

プライベートクラウドサービス

その際、
kazukiyunoue-work.hatenablog.com
「業務を(プライベート)クラウドサービス化する」でも述べたプライベートクラウドサービスという考え方が役に立ちます。これはすべての業務をあたかも世にあるクラウドサービスかのように提供することです。IT部門ならば多くがインフラやプラットフォームといった基盤提供のIaaSやPaaS、さらにそれらの関連ソフトウェアや、経営、業務支援系のソフトウェアのSaaSに該当するでしょう。前述の倉貫氏の記事で言うプロデュース+サービス型であるクラウドベンダーになるのです。ネットワーク経由でアクセスするクラウドサービスですので、目に見えるウェブアプリケーションが窓口になり、誰にとってもわかりやすいものになります。さらに、ウェブアプリケーションはリクエスト数やユーザ数といった顧客行動の指標が非常に計測しやすいため、業務の価値を説明する上で大いに助けてくれるでしょう。普段は見向きもされず、問題があると怒られるというような減点方式ではなく、顧客行動の指標を積み上げる加点方式が業務の前提になり、楽しくそしてやりがいを得やすくなります。クラウドサービスは規模の経済が重要なので、サービスそれぞれはより汎用的に、そしてより多くの利用顧客を得ようと作用するでしょう。結果、ITインフラの選択と集中が行われ、全体最適が促進される可能性もあると思います。当然、各事業部の細やかな要望は結果として「断る」ことになりますが、それはそれこそ外部のSIerクラウドベンダーに任せてしまいましょう。自分たちは自分たちが考える自分たちにしかできない最高のモノ(プロダクトやサービスなど)を作るということが何よりもやりがいにつながるのではないでしょうか。基盤に有用なカードが揃えば、改めて事業部門に対してソリューション提供の業務ができるようにもなります。

外界へ

その行き着く先は分社化や組織を独立させ、外部に対してもサービスを提供する状態です。晴れてパブリックなクラウドサービスと競合になります。驚くことではありません。なぜなら、すでに多くの業務がパブリックなクラウドサービスと競合関係にあるわけですから。不要論、無能論を乗り越えて、強烈なやりがいと喜びを持って次のステージへ向かうIT部門の皆さんに、プライベートクラウドサービスという考えが何かの参考になれば幸いです。