読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

kazukiyunoue-work

働くを考える

ピッチからはじめよ(不十分なタスクを始める前に)

多くの組織でプロジェクト管理、タスク管理ツールを使っていると思います。多くのツールはタスク(課題)を1単位として扱い、それぞれにタイトル、説明、期限、担当者などを入れて、組織活動の見える化と前進を強く後押しする非常に便利なツールです。使っていない組織は稀と言っても間違いではないでしょう。一方で、雑談の中で生まれたアイディアやふと気づいたやりたいこと、やらなければいけないことなども、備忘録やシェアという意図で、プロジェクト管理ツールのタスクに登録されるケースがままあるように感じます。しかしこれは非常に危険な行為ではないかと思うようになりました。

不十分なタスク

不十分なタスクが生まれるといくつかの弊害が生まれます。

  • 情報や背景が十分でない

基本的にタスクはタイトルだけでも作成でき、十分な情報や熱意が抜け落ちてしまう可能性があります。例えば完了の定義が不明確なままタスクを引き継ぐと、誰も完了できない"消せないタスク"になってしまいます。

  • タスク化することでTo-dosになる

まだその優位性や要件が十分に議論されないまま、タスク化してしまうことで、Why?を通り越し、How?に話が移りやすく、メンバーが正しく意図を理解しないまま、納得感のない案件を嫌々こなすことに繋がりかねません。

  • 見えないコストの増加

長すぎるTo-dosリストはモチベーションを下げる一方、進捗確認の管理コストは上がってしまいます。また、タスクを多く抱えることが"やっている感"を示す方法になってしまうと、パフォーマンスの低下を招く可能性も十分にあるでしょう。

タスク作成の前にピッチでやろう

ピッチとはビジネス用語で、自分のアイディアや考えを短い時間で伝えるもの(こと)です。
careerpark.jp
www.key-press.jp
もしアイディアや気づきがあれば、プロジェクト管理ツールにタスクを追加するのではなく、まず組織のCMSコンテンツマネジメントシステム)やコラボレーションツール、連絡用の掲示板等にピッチを書くことを強くお勧めしたいと思います。エレベーターピッチでも良いですし、スタートアップ向けのピッチフォーマットでも良いでしょう。もちろん、図や表、データがあればなお伝わりやすいと思いますが、実際のところフォーマットはそこまで気にする必要はなく、十分に伝わる文章であれば、エッセイのようなものでも良いと思います。効果は沢山あって、

  • 背景や熱意を残せる

ピッチには誰にとって、どんな価値が?が重要視されます。時間が経って見返しても、失われることはありません。一方で、伝わらない、共感されないかはすぐに確認でき、注目されなければ掲示板の奥底に沈むだけです。タスクのようにいつまでも目のつくところには残りません。

  • メンバーのフィードバックを得られる

多くのCMSにはコメント機能があり、各人の意見を追記すれば、アイディアを非同期にブラッシュアップできる有益な議論が可能です。

  • 実現性の試金石になる

頭の中では壮大な完成予想図を描けていても、実際に実現しようとなると難しいことがあります。その前段として、文章化、資料化できないことも基本的に実現できないと考えれば、実現性における良い試金石となるでしょう。

おわりに

プロジェクト管理ツールであるBasecampのBasecamp社でも、カスタマーサポートツールであるHelp Scoutと内部で使うプロジェクト管理ツールはシステム連携をせず、人の判断を経た上で、通常利用するプロジェクトとは別のプロジェクトにストックしているようです。
m.signalvnoise.com
ピッチから始めることで、誰でも意見が言える心理的安全性の高いチームとなり、タスクに溺れない日々を過ごせたら良いなぁと思う今日この頃です。
ちなみにタイトルはイシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」から引用させていただきました。