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働くを考える

確かにBasecamp社の6週間プロジェクトは組織の一体感を醸成できるのかもしれない

ウェブベースのプロジェクト管理ツールであるBasecampの運営会社"Basecamp社"は、幾つかの書籍を出版し、その先進的な経営手法、組織運営で知られています。そんな彼らの組織体制は、彼らのブログを読む限り、機能別組織のようです。エンジニアリング、デザイン(一般的にはプロダクトと呼ばれる領域。デザイン会社を出自としていることからこの呼び名を使っていると思われる。)、QA、カスタマーサポート、OPSといった具合です。機能別組織で考えられる懸念、それは端的にセクショナリズムの発生ではないでしょうか。カスタマーサポートチームはデザイン(プロダクト)チームが話を聞いてくれないと感じ、デザイン(プロダクト)チームは早く欲しいがエンジニアリングチームは意図が分からないと感じ、エンジニアリングチームはOPSチームからの"小言"を煩わしく感じ、などなど、この手のうまくいかない話は枚挙に暇がありません。

6週間サイクル

"How we structure our work and teams at Basecamp"と題されたブログ記事にBasecamp社内で実施している6週間サイクルについて言及されています。
m.signalvnoise.com
これは6週間の実行と2週間の計画を1ターンとするプロジェクトスキームで、1ターンに時間のかかる大きなプロジェクトを2つと小規模なプロジェクトを4−8実施するというものです。大きなプロジェクトにはそれぞれデザイナー(プロダクトマネージャーに当たる人物)が1人、エンジニアが1−2人、小さなプロジェクトをまとめて担当するデザイナーが1人、エンジニア1−2人を兼務のない形でアサインします。多くても3人までとし、複雑性を抑止する狙いがあるようです。また、QAチームは適宜実行中のプロジェクトを見て回ったり、プロジェクト側から声がかかったりして、案件に携わります。記事内で言及されてはいませんが、カスタマーサポートチームやOPSチームに関しても同様の関わり方なのかも知れません。6週間の実行を終えると、2週間をかけて次回のサイクルで実施するプロジェクトの選択とサイジング、そしてアサインする担当者を決めます。およそ2か月のこのプロジェクトによるダイナミクスは、確かにすべてのチーム、すべてのメンバーが同じ方向を向き、互いに協調する環境を醸成できるかもしれないなと感じました。

終わりに

当然プロダクトを厳選し、リソースを集約すること、また強烈な価値観を内外に向け発信し続けていることも組織を健全に保つ要因になっていることでしょう。ブログ記事内にはその他にもプロジェクトマネージャーを用意しないこと、アイディアの集め方、Cレベルメンバー(CEOやCTO)の関わり方等、組織運営における非常に示唆に富むトピックが満載のオリジナル記事は、組織運営に携わるマネージャーやリーダー陣は必読です!