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働くを考える

ティザーサイトから始める社内プロジェクト

社内プロジェクトのあるある話。プロジェクトの対象が既存の社内業務だったり、その置き換えだったりする場合がほとんどなので、特に顧客に当たる実際の利用者とコンタクトを取らないまま完成させ、いざ管理職の会議等で報告、現場まで伝わる頃に突如「聞いてない」「使いにくい」という不満が続出して、最悪プロジェクトが振り出しに戻るパターン。もうひとつが、逆に顧客、パートナーである関連部署、ステークホルダー、果ては無関係な人などが明確な線引きのないまま"中の人"としてプロジェクトに流入し、とめどない肥大化の後、アレの動く城の如く崩壊していくパターン。組織内には、こういったエピソードに事欠きません。酒の肴には申し分ないかもしれませんが、そうも言っていられないですよね。ではどうしたら防ぐことができるのでしょうか。

MVP

リーンスタートアップにはMVP(実用最小限の製品:minimum viable product)という考え方があります。これは顧客のニーズ等を検証し理解する(つまり学習する)ことを念頭にしたプロトタイプのことです。これを顧客に提示しその反応をまた次のMVPに反映しながら、製品を完成へと導く考え方です。エリックリース氏の著書「リーン・スタートアップ」では、ドロップボックスの例として動画型MVPが挙げられています。難解なコンセプトのサービスを動画のデモとして顧客に提示し、多くの見込み顧客の獲得に成功しています。僕はこの考え方は社内プロジェクトにも活用できると考えています。流行りのウェブサービスのトップページや人気の製品の詳細ページを参考に、写真や動画、そしていくつかの特徴を記したプロジェクトでやろうとしていることのページを作るのです。作る場所としては、社内のwikiConfluenceQiita:Teamなどの情報共有の場を活用しても良いと思いますし、もっと本格的にやりたいならウェブページを作れるwordpress等の汎用CMSコンテンツマネジメントシステム)を利用し、「wordpress ティザーサイト テーマ」等で検索して得られるテーマが活用可能かと思います。もし外部に情報が出ても問題ないなら、ウェブページを作成するウェブサービスであるWeeblyStrikinglyWixを活用すればもっと簡単に作成できるでしょう。問い合わせフォームやプロジェクトのメールアドレスを記載しておき、フィードバックを得られる仕組みにしておきます。あとは顧客から反応があればそれらをコンテンツに反映し、またフィードバックを得る、このループを回すのです。

あなたの仕事をより価値のあるモノに

おそらくティザーサイトのローンチ後はその驚くほどの反応の薄さに驚くことでしょう。それは往々にして「そのプロジェクトでやろうとしてることが何なのかよく分からない」という事に起因しています。ですので、ローンチ後は顧客(とされる人)に直接会いに行く等のアプローチを繰り返して、フィードバックを得る努力を重ねましょう。椅子に座っている場合ではありません。ループを何度も繰り返しているうちに、顧客のこともそして顧客のプロジェクトへの理解も深まっていることでしょう。「で、いつできるの?」と言われたら、もうこちらのものですね。あとは作るだけです。そこまでする必要があるのか、と疑問に思うかもしれませんが、個人的には十分にあると思います。足で稼いだ顧客との強い関係性は、導入期における顧客の拒絶反応の立派な緩衝材として働いてくれますし、自分の意見が反映されたものの方が良いに決まってますよね。大事なのはステークホルダー向けのプロジェクト憲章ではなく、顧客との関係性です。というわけでその社内プロジェクト、ティザーサイトから始めてみませんか?