kazukiyunoue-work

働くを考える

業務改善としてのリーンスタートアップ

私はあるウェブサービス関連企業の開発部門にいます。その中でも、サーバやミドルウェア(ウェブサイトやウェブアプリケーションの基礎となるようなソフトウェア群)を管理する部署で、データベースと呼ばれるミドルウェアの構築ならびに監視、また関連した相談を受ける業務をしています。しかし日々仕事に追われると、「この仕事が結局誰にとってのどんな価値があるのか」ということを忘れがちだということに気がつきました。しかもそれは私や私の所属するチームに限った話ではなく、どのチームにもどの企業にも存在するようでした。タスク(作業)として指示を受けたから、または慣例や伝統だからといって行われる仕事も、決して少なくないように思います。また、巨大で変更困難なビジネスワークフローが、仕事の質を著しく低下させ、回り道による大きな無駄を発生させています。左から回ってきた仕事を、時代遅れのツールを使ってこなし、右に回す。結局誰一人、この仕事が誰にとってのどんな価値があるのか分からないままフローを流れ、最後にはなぜ自分がこの仕事を受け取ったのか分からない人によって、デスクトップのゴミ箱に納品されるなんていうのも、冗談のような本当の話として、あらゆる組織に点在している気がしています。昔あった某派遣サービスのCMのように、チャイコフスキーの"弦楽セレナード ハ長調 作品48 第一楽章"が流れてきてもおかしくありません。でも、働くというのはもっと強烈なやりがいや開放感があるものじゃないでしょうか?

自分にとっての顧客という存在

そんな中、リーンスタートアップと出会いました。リーンスタートアップとは、新しいサービスや製品、事業を始める人にとっての無駄なく効率的に進めるための方法論です。早い段階から顧客とプロダクトを介して接触し、定量的なフィードバックを得ながら改善を加える、このループを短い期間で進めることで、最適解に無駄なく最速で進むことが出来るというものです。創始者のエリックリース氏も言うように、リーンスタートアップはスタートアップだけでなく、大企業といった既存組織内でも活用可能なものです。ですが私は「これは自分たちのチームにも活用可能だ」とも感じました。つまり、新規のサービスや新製品に携わる人たちだけでなく、業務改善としても活用可能だと思ったのです。実際、既存業務をあたかもウェブサービスのように整理し展開することで、劇的な業務改善効果がありました。ウェブのインターフェースを作ることで、自分たちにとってもまた顧客にとってもこの業務(サービス)が一体何なのかはっきり分かり、強固なインターフェースによってどれだけ利用があるのか、どれだけ顧客がいるのか、いとも簡単に計測出来るようになりました。なにより顧客が誰なのかはっきりするので、メンバーのモチベーションが非常に高いのです。リーンスタートアップのいうように、顧客として相手を捉え、定量的なフィードバックをもとに改善する、これこそが無駄なく効果的で、モチベーション高く仕事をする方法だと思いました。

業務改善としてのリーンスタートアップ

既存のタスク群を如何にサービスやプロダクトとして捉えるのか、プロダクトの価値や成長を如何に評価するのか等々、既存の方法や考え方ではまだまだ当てはまらない部分が多々有ります。そこで業務改善としてのリーンスタートアップの可能性、考え方や手法を体系的にまとめ、広くお伝えできたらと思います。